研究課題
惑星系形成の場である星周ダスト円盤の性質について、高空間分解能な赤外線ダストバンド分光の手法を用いて研究を進めた。すばる望遠鏡の中間赤外装置COMICS(0.3秒角分解能)を用いて、1:炭素質ダスト(PAH)放射領域の広がりが検出されているHerbig Ae/Be型星を中心に、その空間変化をより精密に押える観測、2:Herbig Be型星周円盤の詳しい撮像・分光観測を進めた。1では、PAH放射研究に有用な7.7ミクロン分光が可能なフィルターを新たにCOMICSに搭載し、長積分時間を投じて高質のスペクトルを得た結果、11ミクロン帯のPAH放射バンド強度比が空間変化し中心ほど電離が進んでいる傾向が示された。またある天体では7.7PAH放射が円盤中心部でISMから変化しており、炭素質ダストの進化ないし小さいダスト破壊の可能性が示唆された。2は、10太陽質量中心星周円盤の赤外線直接像の初の検出成功で、質量星形成研究の観点からも重要で研究の緊急性が高かった。円盤は半径700AU以上で、フレア円盤の特徴を示した。この天体は、アウトフロー活動を終え周囲物質が晴れてきた段階にあるために、より若い段階では埋もれて赤外線で検出しにくい円盤が検出されたと考えられる。この円盤の10ミクロン帯スペクトルは、中心部は光学的に厚い連続波放射が支配的で円盤内側の物質が中心星放射や降着活動で加熱されていると考えられるのに対し、周辺部は非晶質珪酸塩のフィーチャ放射が強く、円盤のごく表層が中心星放射で加熱されていると考えられる。このような描像は、低・中質量星で考えられている円盤の描像とよく合致するように見える。
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http://info.ibaraki.ac.jp/scripts/websearch/index.htm