研究課題
惑星系形成の場としての星周円盤の性質を、円盤ダストの空間分布の観点から明らかにする研究を進めてきた。星周円盤中では、星間空間では1ミクロン以下の大きさだったダストが合体成長し、惑星の種となる微惑星を作ったと考えられており、円盤中でのダスト進化を知ることは、惑星形成のプロセスを理解する上で重要である。本研究では、8mすばる望遠鏡の中間赤外線観測装置COMICS等を用いた星周円盤ダストの観測を進めてきた。中間赤外線域は、多数のダストバンドが存在する他、惑星形成領域(半径数十AU以内)の熱放射に対応する。独自に開発した、8m望遠鏡の空間分解能を限界まで活用した観測手法を用いて、近傍の明るい中質量前主系列星周円盤の撮像・分光観測を進め、10ミクロン帯熱放射で広がった円盤の探査や、サイズ測定などを行った。この結果、いくつかの著しく広がった円盤を発見した。また円盤内あるいは円盤からエンベロープ構造にかけてダストフィーチャが分布し空間変化が見られる天体を発見した。特に大きな星周円盤1個については、その10-1000AUスケールの構造を詳しく議論し、フレア構造・温度分布・ダストの性質などを解明した。この円盤は、中心星が10太陽質量程度と比較的大きいが、太陽質量程度の星の周囲の円盤でも期待されるような熱的構造を示している。一方で、存在するシリケイトダストの種類は、低質量星周とはかなり異なり、プラズマ等による変性の可能性が示唆される。星周円盤は、中心星質量によって性質に共通の点と相違の点と両方持つことが示され、今後このような円盤の性質の質量依存性を詳しく調べ、惑星形成の星による違い等を調べる端緒となった。
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http://info.ibaraki.ac.jp/scripts/websearch/index.htm