研究課題
現在の最新宇宙論における重要問題はいくつかあるが、その最大のものは「宇宙のダークサイド(暗黒面)」という言葉で以下の三つにまとめることができる。すなわち、(1)宇宙を加速膨張させる「ダークエネルギー」、(2)宇宙の重力を支配する「ダークマター(暗黒物質)」、そして(3)宇宙の晴れ上がりから最初の天体形成と宇宙再電離をつなぐ「ダークエイジ(暗黒時代)」である。本研究の目的は、様々な最新観測計画に連携した理論的研究を通じてこれらの重要問題に関するサイエンスをさらに推し進め、宇宙論で残されたフロンティアであるダークサイドの解明に貢献することである。平成19年度は、(3)に関して重要な天体であるガンマ線バーストについては、大学院生の新納悠とともに、継続時間の短いガンマ線バーストが銀河団で発生する場合に得られる示唆について理論的な検討を行った。(2)にかんして、宇宙ガンマ線背景放射に関しては、MeV領域では長年、宇宙物理学的に自然な説明が無く問題とされてきた。ダークマターの対消滅が起源ではないかという説まで出されたが、理論的には考えにくいシナリオであった。そこで我々は、X線領域で広く受け入れられている活動銀河中心核の理論モデルをさらに物理的な考察から拡張し、MeV領域に拡張したところ、自然に説明できる事がわかった。これで、ダークマターの起源に関する一つの可能性を棄却できた。また(1)については、すばる望遠鏡の新観測装置FMOSを用いたバリオン振動探査計画についてはサーベイデザインの検討をさらに進めるとともに、国際的な注目も高く、国際会議で進歩状況を報告した。
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