研究概要 |
赤外線衛星AKARIの1'×1'アパーチャ-内で観測したedge-on YSO(Young Stellar Object)のスペクトルを解析した。H20年度までに同定、柱密度測定を行ったH_2O,CO,CO_2バンドについては、AKARIの国際会議(H21年2月)で発表し、その後、研究会集録論文にまとめた(H21年度発行)。今年度は、より弱い吸収バンドであるHDO,^<13>CO_2,OCN^-,OCSおよびCO gasの吸収バンドを同定した。これらの同定および柱密度評価のため、よりノイズの低いSpectral Response Functionでスペクトルを再解析し、実験室スペクトルとの比較を行う吸収バンドフィットのプログラムも改良した。class O-I天体については、光源が点源でない効果を考慮して、氷吸収プロファイルのフィッティングにもちいる畳み込み積分関数を撮像イメージから求める工夫もした。OCN^-は従来の観測でも例があるが、本研究で得られた吸収スペクトルは従来よりもかなり深く、YSO周囲での紫外線による反応が大きく寄与していると考えられる。OCSのバンドは、観測波長域の端近くなので慎重に議論必要があるが、今までに観測されていないバンドであり、本研究が初検出の可能性がある。主要吸収バンドであるH_2O,CO,CO_2も含め、これらの結果は次ページに挙げた研究会で発表を行い、また学術論文にまとめ投稿した。レフリーからのコメントに従い現在修正中である。 またYSO天体での炭素同位体検出に関連して、星間雲で起こる化学反応について、炭素同位体(^<13>C,^<12>C)を含む反応ネットワークを構築し、同位体比(^<12>CX/^<13>CX)の時間進化および分別過程を理論的に調べた。この結果は学術論文にまとめ、The Astrophysical Journal誌に掲載が決定している。
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