研究課題
若手研究(B)
分子雲や星周エンベロープ、星周円盤など、星間空間において比較的低温・高密度な領域では、酸素・炭素・窒素のかなりの量が水や二酸化炭素などの氷として存在する。これら氷物質は、気相反応で作られた分子のダスト表面への吸着、およびダスト表面での化学反応によって生成される。気相および固相での化学的素過程は温度・密度・紫外線強度などの条件に依存すると考えられる。よって星間物質の進化を解明するためには、様々な物理条件でのガスおよび氷の組成の観測が重要である。気相については電波望遠鏡・干渉計による分子輝線観測が行われ、様々な分子雲での組成分布が明らかになっている。一方、氷の組成は赤外の吸収バンドから分かる。光源となる明るい星の数が限られているため、氷組成の空間分布や物理条件依存性の解明は気相分子に比べて不十分である。また、いくつかの重要な氷吸収バンドは大気吸収の影響で地上からは観測できない。赤外線観測衛星AKARIは氷バンドの観測波長において地上望遠鏡よりもはるかに高い感度を持つ。本研究では、今までは観測の難しかった分子雲背景星を数多く分光観測することによって、分子雲内での氷組成の空間分布を明らかにする。得られた氷組成の空間分布と分子ガス輝線データを照合し、氷とガスの組成の相関関係を解明する。
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Astronomical Society of the Pacific, Cenference Series 418
ページ: 47-54
ページ: 411-414