研究概要 |
本年度は以下の研究を行った。 (1)過去にすばる望遠鏡高分散分光装置(HDS)で観測された4つの彗星のデータの再解析 (2)と関連して、比較的地球に近づいて彗星核近傍が観測されていたC/2001Q4(NEAT)のデータについて特に詳細に解析した (2)核近傍でのO(1D)同士の衝突による遷移を考慮したモデルの見直し 可視域の禁制線を発する準安定状態酸素にはO(1D)とO(1S)とがある。このうち、O(1D)は寿命が長いため、核近傍ではO(1D)同士の衝突による遷移が発生する。そのため、O(1S)の分布が核からの距離が離れるにしたがって減少するのに対し、O(1D)の分布は一定となっている領域が発生する(Bhardwaj&Haider,2002;Morgenthaler et al. 2001)。今回、上記の効果を考慮して、波長の異なる酸素禁制線の輝線比(green line/red doublet lines)からO(1S)とO(1D)の比を求めるモデル(Furusho et al.,2006)の見直しを行った (3)解析及びC_2輝線による影響を見積もるためのモデル計算環境の整備 Furusho et al.(2006)の手法を1天文単位付近まで太陽に近づいた彗星データにも用いるためには、green lineのC_2輝線からの分離とC_2輝線混入の見積が必要である。今年度はC_2輝線のモデル計算開発環境に必要なハード・ソフトの整備を主に行った (4)(1),(2)の結果を、日本天文学会2007年秋季年会および日本惑星科学会2007年講演会にて発表 なお、報告論文を現在執筆中である。
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