本年度は、以下の研究を行った。 (1) 「あかり」衛星による直接観測と本モデルとの比較 2009年2月に県立ぐんま天文台の高分散分光器により観測されたC/2007 N3(Lulin)のデータを解析し、Furusho et al. (2006)の手法の適用によりCO_2/H_2O比として約4%を得た。一方で、この彗星は、「あかり」衛星によるCO_2の直接観測からもCO_2H_2O比が約4%という数値が得られており、直接観測結果とFurusho et al. (2006)の手法による推算結果が非常に良い一致をしていることが示された。 (2) 研究成果の論文化(執筆)作業 解析済みの4彗星のデータに加え、新しく得られたC/2007 N3 (Lulin)の解析結果についても論文化作業を行った(いずれも投稿準備中)。 (3) 解析及びC_2輝線による影響を見積もるためのモデル計算、および各分子からの準安定状態酸素の生成比に関するモデル作り Furusho et al. (2006)の手法を1天文単位付近まで太陽に近づいた彗星データにも用いるためには、green lineのC_2輝線からの分離とC_2輝線混入の見積が必要である。昨年度に引き続き、この見積をモデル計算により行うためのコード作成に取り組んだ。
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