化学進化を含む多相星間ガスモデルを拡張することで、宇宙塵(ダスト)の組成およびサイズ分布進化まで考慮した銀河進化モデルの構築を試みている。ダストサイズ分布進化を適切に取り扱う部分に検討の余地があり、次年度はこの点を解決したい。また、銀河スケールでのダストの影響を総合的に議論する研究会「銀河のダスト」を開催し、国内のダスト研究者間のネットワーク構築を試みた。研究会の成果は収録にまとめて印刷発行した。この研究会は、次年度以降も継続的に開催するつもりである。 一方、輻射輸送数値計算コードの開発は順調に進み、汎用性の高い数値計算コードが完成した。一例として原始惑星系円盤に応用し、その表面に存在する氷ダストの分布を散乱光マップから得られる可能性を見出した。この成果を学会発表し、論文としてまとめた(印刷中)。 銀河のスペクトルを変化させる要因として、ダスト減光以外に、銀河間空間に存在する中性水素雲による紫外線(ライマンα線)吸収が挙げられる。真の銀河紫外線スペクトルを知るには、この銀河間中性水素吸収も補正する必要がある。銀河間空間における中性水素雲の分布は比較的まばらであるので、実際には視線ごとに吸収量が大きく変動すると予想される。そこで、モンテカルロ法により、銀河間中性水素吸収をモデル化した。成果を学会発表し、論文としてまとめ投稿した。
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