陽子の数に比べて中性子の数が極めて多い中性子過剰核は、その弱い束縛性によって構造が特徴づけられている。本研究の大きな目的は、次世代加速器施設であるRIBFの稼動により大きな発展が望まれている弱く束縛された中性子過剰核の構造を研究し、その原子核反応への影響を明らかにすることである。芯核に1つの中性子が弱く束縛した原子核(1中性子ハロー核)の構造と反応は、これまでの研究により大分明らかになってきたが、殻外中性子を2つ持つボロミアン核、あるいは芯核により多数の中性子が結合した中性子過剰核の反応機構は、未だによく理解されていないことが多い。このような中性子過剰核では、強い二中性子対相関が理論的に予言されており、その二中性子相関を原子核反応を介在にしてどのように引き出すかを検討することが急務になっている。また、RIBFプロジェクトでは質量数の比較的大きい中性子過剰核の生成が計画されており、そのような重い中性子過剰核の構造と反応の解明も最重要課題の一つである。 本研究では、特に、芯核に複数の中性子が結合した中性子過剰核の反応機構を解明することを目指す。この目的のためには、そのような中性子過剰核の構造の理解が必要不可欠であり、系の弱束縛性に立脚した構造計算も行う。
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