研究概要 |
前年度にデータ整理を終了した^<48>Ti(n, p)^<48>Sc反応データについて、多重極展開の手法による解析を完了し、^<48>Scの励起エネルギー30MeVにまでわたってガモフ-テラー遷移強度分布を求めた。本反応について、10 MeV以上の高励起にまでガモフ・テラー遷移が得られたのは初めてで、^<48>Ca→^<48>Tiの2-ニュートリノ二重ベータ崩壊過程において、中間核^<48>Scのどの状態が重要かを理論的に理解するために有用な基礎データとなるものである。すでに取得した^<48>Ca(p, n)^<48>Sc反応データについても同一の解析を行い、高励起状態の寄与も含めて核行列への寄与を見積もると、最大で理論予想の2倍相当になり、高励起状態が核行列に有意に寄与する可能性が示された。 ^<48>Caについて、現在もっとも有力な理論計算は殻模型計算で、pf殻の模型空間を完全に取り扱うことが可能である。しかしながら、この計算では、高励起状態にガモフ・テラー遷移強度があらわれず、従って^<48>Ca核の二重ベータ崩壊の核行列を完全には記述し得ない。殻模型から二重ベータ崩壊を正しく理解するには模型空間としてpf殻のみでなく、さらに高励起の殻に起因する配位も考慮に入れる必要がある。 これらの結果をまとめた論文を投稿した。
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