本年度は、主にGRB閃光観測と超新星探索に必要な定常観測体勢を整えることに費やした。まず、全集光器用の基礎ブロックの設置、格納庫の建設を集中的に行った。その際、大量生産による効率化と共に品質管理を重視し、今後の物理観測に十分耐える高精度の建設作業を完了させた。次に、電源ラインとイーサーネットラインの敷設を行った。電磁シールド・紫外線保護、及び防塵・防水を考慮して金属パイプを用意し、その中に電源ライン、イーサーネットラインを這わせた。特にGRB閃光観測と超新星探索のためのデータ収集では大量のデータ通信がオペレーションハットとの間で行われるため、イーサーネットケーブルは帯域を確保するために各検出器に一本とした。電源ラインに関してはエアコン・シャッター等のノイズマージンが大きいラインと、電子回路用を分けて敷設した。観測の環境がシビアなため、これまで誘導雷による信号ラインへの被害があったが、これらの処置によりそれらの被害を予防することが可能となり、長期安定観測に必須のインフラを確保することが出来た。その後、光学系インストール、光電撮像系インストール手順の工程化を行い、多数の集光器の調整が精度よく行えるように手順と確認事項を明確にした。特に、光電撮像系については、非常に精密なシステムであり、手法の確立が難しかったが、調整・移動の間での精度確認を慎重に行うことで、方法を確立した。現在、光学系のインストール作業を進めていくと共に、限界等級の評価を開始している。
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