(研究の目的)地球に降り注ぐ超高エネルギーの陽子(宇宙線)がどこでどのように加速されているかは、宇宙線が発見されて以来100年たった今でも解決していない大問題である。本研究は、宇宙線起源の有力候補である超新星残骸(SNR)のうち、TeV(10^<12>eV)のガンマ線が検出されており粒子を加速している兆候を示すものに対して、次世代ガンマ線衛星GLAST(FERMIに改称)を用いてGeV(10^9eV)付近のエネルギースペクトルをこれまでの数10倍の感度で求める。これにより、加速されている粒子が陽子がどうかを判別し、SNRがどの程度宇宙線加速に寄与しているのかを明らかにする。 (20年度の研究の成果)昨年度は環境試験の遅れ等から衛星打ち上げが延期したが、2008年6月にFERMI衛星は打ち上げられた。SLACにおいて約2ヶ月間の初期運用に参加し、日本での運用に必要な技術を習得した。日本での運用も行い、サーベイ観測での通常運用が順調に進んでいる。現在までに半年以上のデータが蓄積された。解析の結果、空間的に相関のあるいくつかのSNRを見つけることができた。その中でもTeVで広がったSNRに対し現在解析を進めている。今のところバックラウンドとなる銀河面γ線放射や宇宙線バックグラウンドの見積もり等の不定性から、理論モデルと比較する段階には至っていないが、粒子加速の理論家である山崎とSNRの放射スペクトルモデルに関する論文を1つ書いた。
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