初期揺らぎの非ガウシアン性について、curvatonシナリオ、modulated reheatingの様々な側面から研究を行った。まず、curvatonシナリオについて、カーバトン場とインフラトン場の両方の揺らぎが現在の密度揺らぎに影響する場合について調べた。ある種のインフレーション模型では、大きな非ガウシアン性を生成するとともに、大きなテンソル・スカラー比(テンソルモード)を生成することも可能であることを具体的に示した。また、curvatonシナリオにおいて、通常カーバトン場のポテンシャルは2次のポテンシャルが仮定されるが、素粒子物理から示唆されるような具体的なカーバトン場の模型を考えると、2次のポテンシャルから外れてくることがある。そのような場合について非ガウシアン性を調べ、その非ガウシアン性が通常の2次のポテンシャルにおける予言から外れてくることを具体的に示した。特に、curvatonシナリオを検証する上で非ガウシアン性として3点関数のみではなく、4点関数も重要になりうることを示した。また、curvatonシナリオの枠組みでバリオン数生成などを考えると、等曲率揺らぎが生成されうるが、等曲率揺らぎは宇宙背景放射の観測から厳しく制限されている。よって、この制限を回避しつつ大きな非ガウシアン的な初期揺らぎを生成できるか、というのは自明ではない。我々はあるパラメタ領域では、等曲率揺らぎの制限を回避しつつ、大きな非ガウシアン初期揺らぎを生成できることを示した。また、curvatonシナリオだけでなく、modulated reheatingシナリオについても詳細に調べ、どのような場合に大きな非ガウシアン的な初期揺らぎが生成されるかについて具体的に示した。
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