10^<20>evを越える宇宙線が今までに十数例観測されているが、到来頻度は1km^2あたり100年に1個と非常に小さいので、その起源を探るためには検出面積をできるだけ広げてできるだけ多くの宇宙線を観測する必要がある。 JEM-EUSOでは国際宇宙ステーションに取り付けた超広角望遠鏡により、超高エネルギー宇宙線が大気中を通過した時に発する蛍光紫外線をとらえることにより宇宙線観測を行う予定で開発を進めている。宇宙線による蛍光は非常に微弱であるので大気中での様々な夜間発光現象をあらかじめ調べておくことが重要である。また、雲が出ている場合には反射率が高いためにJEM-EUSOにとっての背景光が増加すると予想される。本研究では気球を用いて300〜400nm領域での背景光と雲による影響を観測することを目的としている。 300〜400nm領域フィルター(BG3)をつけた16chマルチアノード光電子増倍管(MAPMT)1本に、雲観測用赤外線サーモグラフィと同程度の視野(30度)を持つ光学系をとりつけ、16素子の画像検出器として上向きと下向きにとりつけ、雲と夜光のパターンの相関をみる。この光学系を実験室内で組み上げ試験を行いほぼ目的とする性能があることが確かめられた。また、データ収集回路のコンパクト化、省電力化のため、FPGA(Xilinx Spartan3)、組み込み用Linuxコンピューターを用いて光電子増倍管による光電子数を計数する回路を開発した。
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