銀河の歴史を探るため、最新の天文観測により観測された初期宇宙に近い星のPb等の重元素の元素組成の存在比は従来の元素合成模型では説明できない事が分かってきた。特に重元素ではその相違が顕著であり、重元素が生成される恒星内での中性子捕獲反応断面積の情報は妥当な模型を構築する上で不可欠でありその反応機構の理解も次かせない。 本研究は上述の恒星内元素合成模型(s-過程元素合成)の最終端Pbに着目し、その同位体存在比を評価するために必要な中性子捕獲反応断面積を測定することが目的である。又本研究には、宇宙核時計に関する研究でkeV中性子捕獲反応を高精度で測定する際に我々が開発した不連続即発γ線検出法を用いる。この手法は原子核反応からの捕獲γ線のエネルギーを精度良く決定するため他の元素からのγ線バックグラウンドと識別でき、断面積の高精度測定が可能である。2008年度は濃縮^<208>Pb中性子捕獲反応実験を行い、これまで観測されたことの無いkeV領域の中性子による不連続ガンマ線を世界で始めて精度良くすることに成功した。
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