研究概要 |
次世代加速器用超伝導ケーブルとして期待されているNb3Sn, Nb3A1超伝導線材を用いた超伝導磁石のクエンチ保護解析を目的として、試作したNb3Sn, Nb3A1超伝導線材の安定性評価および汎用クエンチソフトの開発を行うことが本研究の目的である。試作線材の安定性評価について、様々な断面形状を持ったNb3A1,ENb3Sn超伝導線のクエンチ伝搬速度および最小クエンチエネルギーMQE(超伝導線がクエンチするために必要な最小のエネルギー)を、通電電流値や外部磁場、冷却条件を変化させて測定、評価を行うための装置開発を行った。昨年度、既存の外部磁場印加装置に取り付けられるようなサンプル冷却用クライオスタットの一部を製作したが、今年度にはその他必要な部品、サンプル挿入用コールドボア、真空容器用トップフランジ、サンプルホルダーを製作した。サンプルホルダーについて、直径約45mmの狭い空間に1000A以上の大電流を通電するため、サンプルを固定する部分と電流導入部が一体となったサンプルホルダーを設計・製作した。細い円筒空間へ大電流を導入するため、同軸構造を採用した。サンプル交換時の作業を可能な限り簡略化するため、サンプル線を巻き付けたボビンをボルト一つで着脱可能な構造とした。汎用クエンチ解析ソフトの開発について、申請者がこれまでに開発した解析コードを発展させて一般に公開する事を目的として、昨年度は解析モデルのデータ入力部の簡素化および解析結果の3次元モデル表示化プログラムを、JAVAを用いて開発した。今年度は前年度部の改良、および計算部本体(c^++)を不特定ユーザーのPC(Linux)にてコンパイルできるようにライブラリの構築を行った。
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