semi-inclusive手法ではB中間子の輻射崩壊B→Xsγ(Xdγ)におけるXs(Xd)を様々な終状態で再構成しそれを重ね合わせる。平成20年度は、少量のデータを用いて再構成を行い、終状態の分布をモンテカルロシミュレーションと比較した。この結果、データXsの終状態として2体に崩壊するものの割合がシミュレーションでは多いことが確認できたので、シミュレーションの終状態の分布がデータに近づくよう、シミュレーションの補正を行った。一方、終状態にπ中間子を多く含む場合の再構成の効率が低い問題を改善するために、π中間子の運動量の条件などの調節を行ったが、劇的な向上は得られなかった。また、信号の数はMbc分布のフィットにより求める予定であるが、シミュレーションによる研究ではフィットより得られる答えが真の信号の数からずれていることがわかったので、各成分のMbc分布のモデリングの調整を行って、バイアスを減らすようにした。この後、Belleにより収集された711/fbのデータを用いて、B→Xsγの分岐比の測定のための系統誤算の見積もりを行ったが、分岐比の最終的な値を得るところまでは至らなかった。並行して、XsγのCP対称性の直接的破れの度合いの測定のための、予備的研究を行った。一方、KEKB加速器の増強とBelle検出器の改良を視野に入れ、B→Xdγのsemi-inclusive手法を用いた測定のためのシミュレーション研究(特に、粒子識別装置の改良の測定への影響について)などを行った。
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