平成20年度の間に、B^0→K_spγに於ける、時間に依存したCP対称性の破れS_<cp>を世界で初めて測定した。その成果は、これまでに測定した他のモードとともに国際会議等で発表され、論文はPRLにて出版された。このモードは、B^0→K_sπ^0γと向様、b→s遷移にγの放射が伴うもので、崩壊分岐比は小さいものの、pの崩壊点からBの崩壊点を決定できるため、Bの崩壊点から直接出てくる荷電粒子の存在しないB^0→K_sπ^0γと比べて強みであると言える(B^0→K_sπ^0γでは、K_sが崩壊点検出器の十分に内側で崩壊したものしか解析に使用できない)。657×10^6のB中間子・反B中間子対が解析され、およそ200イベントのB^0→K_spγ信号事象を抽出し、S_<cp>=0.11±0.33(統計誤差)+0.05-0.09(系統誤差)という結果を得た。この測定精度は、B^0→K_sπ^0γのS_<cp>の測定精度と比べて遜色ないレベルにあり、光子偏極度の測定能力を、大幅に向上することに成功したと言える。 一方で、B^0→K_sη^&isinsγのS_<cp>を測定するために、信号事象の探索を行った。残念ながら、まだ有意に信号が存在すると言えるレベルにないことが確認されたが、対応する荷電モードB^+→K^+η^&isinsγの信号を3.3σを超える有意さで確立できたので、中性モードもいずれ発見されることが自然に推測される。この成果に関する論文を執筆中で、平成21年度に提出できる見込みである。
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