研究課題
本研究の目的は、宇宙のあらゆる方向から飛来する謎のX線放射(宇宙X線背景放射;CXB)の起源を探るために、最もエネルギー密度が高い硬X線の領域で、そのX線スペクトルを精密に測定することである。本研究では、硬X線領域で世界最高感度を誇る「すざく」衛星の硬X線検出器(HXD)を用いて研究をすすめており、継続的に、検出器開発メンバーとしてのメンテナンスと、較正観測とを行ってきた。平成20年度には、広島大学他の研究者と協力して、HXDの感度を左右する非X線バックグラウンド(NXB)のスタディをすすめ、CXBの平均X線スペクトルを約10%の精度で求める事が出来ている。この結果を元に、平成21年度には、X線衛星を用いた研究者が広く集まる国際会議として、平成21年7月の「すざく」国際会議、9月の「X線宇宙物理(X-ray Astronomy)」会議に参加し、ヨーロッパのINTEGRAL衛星や米国Swift衛星を用いたCXB観測の研究者と打ち合わせ等を行い、その測定精度についての議論等を行った。前者のすざく会議は、主催者のメンバーの一員として運営にあたった。なお、本研究で精度が向上した較正結果は、本研究代表者がとりまとめて、NASA GSFCから世界に公開、広く「すざく」観測者が利用できるようにした。さらに、CXBの起源に制限をつけるべく、到来方向毎に分割した解析をすすめ、その放射強度の分散からCXBの活動銀河核起源説の検証も試みた。結果、現時点での検出器感度では強い制限は与えられなかったものの、将来のX線衛星であるASTRO-HやIXOに搭載する観測装置の性能要求値を示す事につながった。
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Publications of the Astronomical Society of Japan 61
ページ: 475-485
ページ: 275-281
ページ: 1217-1228