研究概要 |
1.Si-CdTe検出器アレイの製作 超重核のa-Y核分光研究にはa線検出のためのSi検出器とY線検出のためのGe検出器を組み合わせたSi-Ge検出器アレイが用いられているが,本研究ではY線検出器としてCdTe検出器を適用し,新規にSi-CdTe検出器アレイを製作した。1×1cm^2(厚さ1mm)のCdTe検出器と2×2cm^2(厚さ0.3mm)のSiフォトダイオードを用いて検出器アレイを組んだ。CdTe検出器はGe検出器と比較してエネルギ一分解能の面で多少劣るが,検出効率の高さと常温で使用できる利点がある。また,Ge検出器と比べて検出器を構成するCdやTeの原子番号が大いために,高い検出効率が期待ざれる。 2.Si-CdTe検出器アレイの性能評価 α-γ線同時計測用に、Si検出器16chおよびCdTe検出器16ch分の同時計測が可能な信号処理回路システムを新規に構築した。この回路の構築によりエネルギー分光測定・壊変時間特性・検出器のヒットパターン等のデータ取得が可能になった。^<241>Am標準線源を用いて1.で製作したSi-CdTe検出器アレイの性能評価を行った。SiおよびCdTe検出器のエネルギー分解能・検出効率曲線・α-γ線放出間の時間測定を行った。CdTe検出器のエネルギー分解能は常温で59keVγ線に対して2.5keVであった。また、^<241>Amの5.48MeVα線と59keVのγ線の時間差67n秒も確認した。 3.Si-CdTe検出器アレイの照射室内でのバックグランド測定 a-Y核分光研究において、ビーム照射時のバックグランド計数率の高さが重要となる。そこで、加速器運転時におけるバックグランド測定をおこなった。CdTe検出器の計数率は、0.3cpsとGe検出器の8000cpsと比較して非常に低い値を示す事を観測できた。
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