研究概要 |
高いエネルギー分解能と位置決定能力を同時に兼ね備えた硬X線,ガンマ線検出器は,さまざまな分野の研究,調査において,強力な手段となりうるもので,実用化が望まれている。本研究では,私がこれまで宇宙観測用の検出器研究の中で発明し,特許出願してきた高精度ガンマ線プローブとガンマ線源の3次元位置検出法の実証を行い,その手法を確立することを目的とする。このガンマ線プローブは,ピクセル型のテルル化カドミウム(CdTe)半導体検出器を多段に積層したものであり,平成19年度には,本研究目的である実証実験に不可欠となるCdTe半導体ピクセル検出器モジュールの実機の製作を集中して行った。製作した検出器モジュールは,ピクセルサイズ1.4mm角で8×8=64ピクセルを持つCdTe半導体素子を2×2で配置したもので,4層まで積層可能となっている。基本的な動作試験は,完了し,これまでに得られている性能と同等であることを確認した。これらを組み合わせ,様々な線源からガンマ線を照射し,3次元位置検出法の実証実験を開始した。 さらに,検出効率の向上を目指し,検出器面積を増やしたCdTe半導体ピクセル素子を開発し,製作した。また,CdTe半導体の基礎的な特性を研究し,最大限,その性能を発揮するために,厚さを変えたCdTe半導体の単素子を複数,製作し,特性評価を再度,行っている。平成20年度には,これらの成果をもとに,大面積化した検出器モジュールを開発していく予定である。
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