1. ホウ素ドープしたカーボンナノチューブの電子状態と3次元性 カーボンナノチューブの金属化、超伝導化の可能性を探るため、これまでホウ素をドープしたチューブの電子状態計算を行ってきたが、今回はその3次元性の効果を調べた。その結果、ホウ素ドープによって電荷移動が起こりうること、バンドルを組むことによる状態密度の変化などを議論した。また、ホウ素ドープと窒素ドープした様々なナノチューブを比較することにより、その不純物準位の深さの傾向などを議論した。これらの計算により、一般のナノチューブにホウ素や窒素をドープしたとぎの電子状態の変化についておおよその目安が得られるようになったと言える。これは、ナノチューブをナノエレクトロニクスの分野で活用するために、非常に重要な結果である。 2. 第一原理計算にもとづく超伝導転移温度の計算 超伝導転移温度の理論的な予言能力、特に、高い転移温度が期待され様々な同素体を持つ炭素系などにおける精度の高い予言能力は、物質開発において非常に重要な役割を果たすと考えられる。しかし、従来の計算方法では、予言という意味ではまだまだ不充分であった。そこで、グリーン関数を用いたより精度の高い転移温度の計算手法を開発した。この手法は、今後ナノチューブなどの炭素系において高い転移温度をもつ物質を探す上で非常に重要になると考えられる。
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