平成19年度においては、交付された助成金をもとに電気炉の製作を行った。ドメイン構造はわずかな温度変動によって揺動してしまい観察することができなくなる。そこでできるだけ精密に温度をコントロールすることが可能な電気炉を製作した。電気炉の製作のみに一年を費やしたため、チタン酸バリウムの実験にはまだ至っていない。強誘電体の理解には平均構造からのずれを明らかにするためのマイクロストラクチャーと分極の協力現象を明らかにするためのドメインストラクチャーの2つを理解する必要がある。本研究では、これら強誘電体の持つ2つの特徴的な構造を、典型的な強誘電体においても適用し、従来の強誘電体とリラクサーのような新規強誘電体の構造の違いを明らかにしようとする試みである。放射光を用いたドメイン構造の観察の準備をする一方で、マイクロ構造の解析にも取り組んでおる、本年度は幾つかの強誘電体の構造解析に成功した。それらのうち、ビスマスフェライト系やランガサイト系の物質は鉛フリーの強誘電体、圧電体材料として重要な物質である。
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