半導体試料にソーヌ・ドレインと電極となる金属を蒸着して電解液に浸し、同じく電解液に浸したゲート電極(白金線)からゲート電圧を印加した。このとき、ソース・ドレイン電極間の面抵抗を4端子法で測定し、また、ホール効果により半導体表面に誘起されたキャリアの面密度を測定した。さらに、これらの海度依存性を測定した。 試料として酸化亜鉛単結晶薄膜、電解液として高分子電解質(過塩素酸カリウムポリエチレンオキシド溶液)を用いたところ、キャリアの最大面密度は4.2×10^<13>cm^<-2>と、SiO_2を絶縁層とする従来のFETの限界よりも2倍以上の高密度を達成することができた。その結果、電界効果によって抵抗の温度依存性を絶縁体的なふるまいから金属的な振舞いに変化させることができた。 さらにキャリア密度を向上させるために電解質としてイオン液体を用いた。その結果、図4のように300Kにおいて、高分子電解質を用いた場合よりも1桁大きい4×10^<14>cm^<-2>ものキャリアを蓄積することができた。さらに、220Kでは印加できる最大のゲート電圧を制限する電気化学反応が抑制されるため、より大きなゲート電圧を印加することができた。このとき、最大のキャリアの面密度は8×10^<14>cm^<-2>まで達した。 この研究で得与れたキャリア度は13A^2当り1個になり、分子性結晶に当てはめた場合、本研究の目的である、1分子当たり1個のキャリアドーピングを達成することができた。これは、電界効果トランジスタで蓄積できるキャリア密度のこれまでの最大値を大きく上回るものである。
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