19年度は重点的にテトラテーナイト磁性薄膜の作製に取り組んだ.表面界面の製膜技術を活用し、FeとNiを単原子層毎に共蒸着する事でL10型超構造作製を計画した.当研究センターに設置された薄膜作製チャンバーと電子衝撃加熱式の蒸着源(0micron社製EFM)を活用し安定的な蒸着を行った.格子間隔を考慮し基板にはCu(100)を用いた.低速電子線回折(LEED)パターンを観測することでL10型超構造の評価を行なった.最終的に光電子顕微鏡を用いて磁区構造の観測を行った. また、隕石より抽出した天然のL10FeNiの物性評価を行った.X線回折により格子定数と規則度を厳密に評価した.磁気円二色性測定を行い、磁性と超構造と電子状態の相関を調査した.また硬X線光電子分光測定を試験的に行い、価電子帯の電子状態を調査した.いずれもdisordered-FeNiと異なる物性を示した.人工、天然両者のL10型FeNiの物性把握が進展し、研究が飛躍的に前進した.
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