我々は鉄隕石に由来するL10型FeNi規則合金の磁気特性について、放射光を用いた直接的な解明を推進した。L10-FeNi相が示す著しく巨大な磁気異方性の起源について、結晶構造と電子スピン状態と磁区構造を関連づけて議論を行なった。円偏光軟X線を用いた磁気円二色性測定(XMCD)を行なったところ、Feのd電子の軌道モーメントに面直方向に増大する特徴的な角度依存性が確認され、その一方Niにおいては有意な角度依存性は認められなかった。このことから、Feのd電子の軌道モーメントに起因して高い磁気異方性が発現することが示唆された。光電子顕微鏡(PEEM)を用いて磁区観察を行なったところ、微視的には面直磁化をもつことが明らかになった。
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