強相関系としての有機導体に着目し、外場に対して特異な応答を示す電子状態、およびスピン状態を理論的に探索することを研究目的とする。近年、(a)~(c)に挙げられるように1次元・2次元有機導体の中にこれまでにない異常応答現象が次々と報告されている。(a)サイリスタ型の非線形電流電圧特性を示す不安定有機金属θ-ET_2CsZn(SCN)_4、(b)絶縁相へのレーザー光照射によって高伝導性を示すディラック電子系α-ET_2I_3、(c)巨大負磁気抵抗を示す1次元フタロシアニンTTP[FePc(CN)_2]_2。 研究計画を項目別にまとめる。 (1) 異方的三角格子状のスピンレスフェルミオン模型の基底状態と、動的応答を明らかにする。 (2) 1次元拡張近藤格子系における電子相関効果と磁場効果を調べる。
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