今年度は量子ドット・s波超伝導体接合におけるジョセフソン効果に関する研究を行った。HF-BdGアルゴリズムを定式化し、量子ドット・トンネル接合系で期待されるクーロン・ブロッケードと近藤効果の相関効果を必然的に取り込むことが可能となり、その計算プログラムを作成した。さらに、量子ドット・s波超伝導体接合間めジョセフソン電流を計算し、温度依存性と電流-位相特性を量子モンテカルロ計算法により調べた。量子ドットにおける斥力相互作用のない場合、ジョセフソン電流の温度依存性は低温で飽和し、透過率に関して比例することを示した。一方、斥力相互作用がある場合には、弱斥力でかつ低透過率のとき、負のジョセブソン電流のπ接合となる。また、強斥力でかつ低透過率のとき、0接合の復元となった。これらの結果より、それぞれの条件下でクーロン・ブロッケードと近藤効果が起こることを明確にした。さらには、連続的なジョセフソン雷流の雷流-位相特性を示すことをも確認した。なお、これらの研究成果は、Physica E (2007)257にまとめた。
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