研究概要 |
H20年度は、前年度準備した計測装置を改良し、420mJ,27fsのチタンサファイアレーザー(中心波長800nm)をヘリウムプラズマ中に集光し、後方135度へ散乱する光のイメージング分光計測を実施した。本方式では、レーザー進行方向に空間分解し、かつ、散乱光のスペクトル分光も同時に行える点で昨年度までの計測方式を高度化したものである。また同時に、前方方向に散乱したレーザー光のスペクトルも計測を行った。詳しい解析は、現在行っているが、予備的な解析では、高エネルギー電子が発生する場合には、この計測器で計測される散乱光のスペクトル幅が増大(780-910nm)している傾向があることがわかった。ショットによっては、スペクトルが単に拡がるだけではなく、変調された構造もあった。この点では、電子発生に関連すると思われる系統的なデータは取得できたと考えられる。しかし、目標とする定量評価を行うには、密度評価や元々のレーザー光が伝播中に大きな波長シフト量の評価を注意深行う必要がある。さらに、プラズマ中に作られるソリトンと呼ばれる構造からの電磁放射と思われる強い可視光を観測しており、これが定量評価の妨げになることが分かった[論文投稿中]。このソリトンは、プラズマ中でのレーザーの消耗に強く関連した量であり、その放射計測は十分に行われておらず、今後の研究課題であろう。 また、レーザーの進行方向に設置した真空紫外計測器にて、10nm程度までの短波長化した変調光を観測した。これは、従来知られていた高次高調波の機構では説明ができず、非線形トムソン散乱にて、スペクトル形状は説明できた。しかし、計測された光量は、集団効果を入れねば説明ができない程の強度であり、新たな知見と考えられる[投稿準備中]。
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