研究概要 |
西南日本の沈み込み帯では、フィリピン海プレートの沈み込みに起因した現象であると考えられている非火山性深部低周波微動が発生しているが、その発生過程に関する明快な結論は得られていない。その理由として、微動の発生場所が構造探査で得られる地殻構造と対応可能な精度で推定できていないことを挙げることが出来る。低周波微動が発生している紀伊半島では、平成16年に紀伊半島を南北に縦断する地殻構造探査と東西に横断する地殻構造探査が、それぞれ実施されている。平成19年度は、両探査測線上の観測点と紀伊半島南部の定常観測点で観測した発破と自然地震の初動走時データ及び平成16年1月-2月に紀伊半島南部で実施した臨時自然地震観測で得た走時データを用いてトモグラフィー解析をおこなった。得られた速度構造を基に、南北・東西両測線で得られたデータに対して共通反射点重合法による反射法解析を行ない、両探査測線下の反射法断面図を得た。その結果、紀伊半島下に沈み込むフィリピン海プレートに対応する反射層の厚さは変化し、測地学的研究や地球熱学的研究などにより示されている定常滑り領域下で厚くなっていること、低周波地震は、反射層が厚くなる領域内で発生し、発生域の近傍では、Low Vp, high Vp/Vsの特徴を示すことがわかった。また、微動の発生場所を高精度で把握する為に、和歌山県田辺市において稠密地震計アレイによる低周波微動観測を実施した。観測期間中に紀伊半島南部で発生した低周波微動を観測することに成功し、高精度な微動発生分布を得るための地震波形データを取得した。
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