研究概要 |
日本列島の様な海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む地域では,海洋プレートの沈み込みにともなう温度圧力の上昇に起因する含水鉱物の脱水分解反応により生成したフルイドが,その地域での地震や火山活動に引き起こす原因と深く関わり合いがあるのではないかと考えられている.そこで,沈み込み帯の地球内部に相当する高温高圧条件下でのフルイドの物理化学的性質や相平衡関係,また,フルイドと周囲のマントル物質との相互作用を理解することが,地球進化や地球内部現象を解明する上で重要となる. 平成19年度は主に外熱式ダイヤモンドアンピルの装置の購入及び,実験環境の整備を行った.外熱式のダイヤモンドアンピルは,コーネル大学のバセット教授が開発したバセットタイプ及び,カーネギー研究所のフェイ博士達が開発したレバータイプの2種類を導入した.これらを加熱用電源に接続し,熱電対と温度コントローラーを併用しPID制御による温度制御システムを構築した.また,加熱中のダイヤモンドの酸化を防ぐために,ダイヤモンドアンピル装置にアルゴンに2%の水素を混ぜた混合気体を送り込むためのシステムも組み上げた.その結果,高温で安定した長時間の実験を行う環境が整った. 今後これらの装置を用い,H20とシリケイト成分の量をうまくコントロールした出発物質を用いてフルイドの相平衡関係を決定し,その上でフルイドとマントルウェッジを構成する鉱物との反応を高温高圧状態のまま光学顕微鏡を使用して直接観察することを試みる.
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