本研究では、「波形インバージョン」と呼ばれる新しい高解像度のデータ解析手法を用いて、D"層内の詳細な地震波速度モデルを推定することに成功した。 推定されたモデルは、高速度領域がD"層の上半分100kmに集中していることを示唆している。この結果は、D"層の物質組成分布について重要な示唆を与える。 D"層の最上部において、下部マントル主要鉱物であるペロプスガイドがその高圧相であるポストペロプスガイドに相転移し、さらにD"層の真ん中ほどの高さ(D"層最上郡から100km下戸より下で、再び低圧相であるペロプスガイドに相転移すること(理論的に提案されていた二重相転移モデル)を支持している。これは、二重相転移モデルの直接的証拠の、世界で初の発見であり、地球内部ダイナミクスを理解するための手がかりになると期待される。
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