研究課題
深部低周波地震・微動が、巨大地震の表面波によって動的に誘発される現象を利用することで、微動発生メカニズムを調査した。去年度までに、2003年十勝沖地震及び2004年スマトラ・アンダマン地震のRayleigh波通過に伴い、主として体積歪み或いは法線応力が変化することによって、西南日本で観測される深部低周波微動・地震が誘発され、しかもその規模が歪みの大きさに対応して変化していることが明らかとなっていた。地下の震源付近の歪変化を、地表で観測された地震波形と理論的に導出したカーネルを用いて求め、誘発された微動の輻射エネルギーとの関係を定量的に精査した。剪断歪み成分のみを含むS波やLove波ではなく、Rayleigh波で顕著に誘発されることから、流体の関与と間隙水圧が関与していることを確かめ、発生メカニズムのモデルを考えるにあたり、すべり速度・状態依存摩擦構成則を採用した。その結果、深さ約30kmのプレート境界付近に位置する震源域近傍に、スラブから脱水して存在する流体の大きな寄与がなければ、微動の発生が説明できないことを明らかにした。また2008年中に発生した四川・〓川地震によっても微動の誘発が確認された。いくつかの西南日本における事例を、北米のカスケードの沈み込み帯の微動誘発の事例と比較することで、西南日本、東北日本、及びカスケードでの沈み込み帯における流体の分布に相違があることが示唆された。これらの研究成果を、Journal of Geophysical Researgh及びEarth Planets and Space誌に論文発表した。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Journal of Geophysical Research, Solid Earth 113
ページ: B01307
Earth Planets and.Space 60
ページ: e17-e20