1、太陽質量程度の若い連星系XZ Tauを、すばる望遠鏡の近赤外コロナグラフ装置で観測した。補償光学装置を用いたことにより、0.1秒角程度の高い空間分解能を得ることができた。ハッブル宇宙望遠鏡が取得した可視光偏光データと照らし合わせることにより、この連星系に付随するアウトフローを検出した。このアウトフローはジェットとともに噴出していることが分かった。連星の光度変化から、アウトフローとジェットは、伴星が近星点の位置にあった時に最も強く噴出していると考えられる。 2、近傍の散開星団「プレアデス星団」に属する若い恒星の可視光高分散分光観測を行った。取得したスペクトルの組成解析を行い、有効温度、表面重力、微小乱流速度などを精度良く決定した。今まで行われてきた研究と照合することにより、これらの若い恒星の金属量はほぼ一様であることが分かった。このことは、散開星団の母体となった分子雲は内部運動などで化学的に均質になっていたことを示唆する。 3、大質量星形成領域W5E HII領域を、国立天文台野辺山45m電波望遠鏡で探査した。観測は一酸化炭素の同位体を用いて行い、HII領域の境界部を広くサーベイした。その結果、HII領域と接する密度の濃い分子雲を複数検出した。これらの分子雲はHII領域に接する面で密度勾配が急になっており、大質量星からの紫外線の放射または星風により分子雲が圧縮されていると考えられる。また、2MSSカタログなどの既存のカタログと照らし合わせることにより、これらの分子雲では低質量の星が活発に形成されていることが分かった。
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