研究課題
本年度は、東京大学新領域創成科学研究科のレーザー銃を用いた実験と、物質材料研究機構の一段式火薬銃を用いた衝突実験を行った。東京大学新領域創成科学研究科において、方解石と硬石膏を標的試料としてレーザー銃を用いた開放系での衝突脱ガス実験を行った。その結果、25GPa以下の衝撃圧の条件で方解石の衝突脱ガスが起こりはじめ、衝撃圧が34GPa前後で方解石の衝突脱ガスがほぼ完全に起こるということがわかった。また、本研究の実験条件では硬石膏の脱ガス開始の衝撃圧は23GPa以上33GPa以下であることがわかった。一方、物質材料研究機構の一段式・二段式軽ガス銃を用いた実験では、弾丸の組成や大きさ、衝突速度を同じ値に固定したままコンテナ内の体積や封入する固体試料の量を変えてショットにおいて、衝突脱ガスの起こり方の違いと生成が巣の化学組成を観測した。その結果、最初の固体試料の量に関係なく試料コンテナ内部の体積に比例した量の脱ガス生成気体が発生することが観測された。これは、固体試料の量が十分多く、到達温度圧力が十分高い場合には、衝突脱ガス反応進行時の固体試料の周囲の脱ガス生成気体の分圧によって脱ガス量が決まるということを意味している。レーザー銃を用いた開放系での衝突脱ガス実験結果、火薬銃を用いて封圧を制御した条件での実験結果から、本研究の条件では衝突脱ガスが圧縮過程ではなくその後の圧力解放過程で起こっていることがわかった。温度圧力条件がユゴニオ曲線上に載っている圧縮過程では分解領域に到達していない場合でも、その後の圧力解放過程で圧力が下がると分解領域に到達する可能性がある。圧力解放過程での衝突脱ガスが重要なことは先行研究でも指摘されており、特に脱ガス率を決める閾値付近では圧力解放過程での脱ガス反応が重要であることが分かった。
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日本惑星科学会誌遊星人 18
ページ: 4-9
Geophysical Research Letters 35
ページ: L13202
日本惑星科学会誌遊星人 17
ページ: 98-104