研究概要 |
今年度は海底地動水圧同時観測システムの製作を行った。計画段階では既に開発した長期型海底広帯域地震観測システムに,独自に開発した差圧式水圧計を組み合わせたシステムに,更に既製の絶対圧計を組み込む開発を予定していた。しかしながら,データ解析の結果,絶対圧計を組み込み質的な向上を図るよりも差圧計のアレイ観測をする量的な向上を図ることがより目的を達成するために近道であることがわかった。 データ解析は,平成18年度科研費若手研究(B)課題「広帯域地動水圧同時観測システムの構築」の補助金のもとで開発製作されたシステムにて北西太平洋において1年間の長期観測により得られたデータを用い,周期50秒から120秒の長周期海洋重力波と海洋潮汐が共鳴しているという新しい事実が得られた。 この結果は,海洋潮汐エネルギーの散逸機構として,"長周期海洋重力波との共鳴励起"という全く新しいメカニズムを示唆するものであった。この結果を受けて,絶対圧力計を装備するよりも長周期海洋重力波の卓越周波数に独自に開発製作した差圧式水圧計をチューニングすることの方がはるかに有効であることがわかった。本年度は2つの本観測システムを増産し,試験観測を相模湾および熊野灘で行い,想定通りのスペックを達成していることを確認した。
|