研究課題
米国大気研究センター(NCAR)の大気化学-気候結合モデルWACCM3を、水平解像度緯度4度×経度5度、鉛直103層(上端6×10^<-6>hpa、上部対流圏・下部成層圏において300m程度)の設定で1年半分走らせ、気象力学諸量および水蒸気・オゾン等の微量成分濃度の日平均値等を出力した(NCARの大型計算機にて研究協力者であるAndrew Gettelman氏が実施)。このデータを用いて研究代表者の方で、熱帯対流圏界面領域における大規模波動活動に関する初期解析を行った。その結果、WACCM3においても、赤道ケルビン波と思われる大規模東進重力波が卓越していることが確認できたが、その季節性や経度依存性にバイアスが存在していることが判明した。WACCM3は中層大気の表現については卓抜した特性を持っていることが知られているが、熱帯対流圏の気候表現はやや十分でない可能性がある。なぜなら、熱帯対流圏界面領域の平均場および波動活動を数値モデルで適切に表現するには、対流圏の気候場、降雨を伴う擾乱場、特に積雲群の組織化を適切に表現することが肝要だからである。このようなモデルの特性を踏まえた上で、さらに熱帯対流圏界面領域におけるオゾン変動の様子を初期解析し、以前研究代表者が実験・解析した東京大学気候システム研究センター・国立環境研究所の大気大循環モデルの結果と比較を行った。8月および12月に米国での学会に出席し、Andrew Gettelman氏と解析結果および今後の研究方針について議論を行った。また、以前から進めてきていた熱帯対流圏界面領域に関する研究について、学会発表もおこなった。
すべて 2007
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天気 54
ページ: 597-600