複雑・急峻地形による強雨・強風といった極値の発生機構を調べるため、細密標高データとして国土地理院50mメッシュ数値標高データを用いることとし、次世代メソ気象モデルWRFで細密標高データを処理するためのプリプロセッサを作成した。WRFの多重領域設定(ネスティング)の手法を用いて解析対象領域を高解像度で分解する領域設定を行った。格子間隔1km未満となる計算領域におけるモデル地形を作成するために、国土地理院50m数値標高を用いた。気象庁メソ客観解析値を初期値・境界値として用いて、梅雨前線活動の活発化に伴う集中豪雨(2004年7月新潟・福島豪雨)および冬季爆弾低気圧通過時(2005年12月庄内平野強風)における強風の事例を選択し、ネスティングによる高解像度領域気象シミュレーションを行った。気象観測データと比較して、強雨および強風事例のシミュレーションの再現精度を検討した。特にWRFモデルの物理過程(雲物理および境界層過程のパラメタリゼーション)に対する感度を調べ、極値の再現性に関して各パラメタリゼーションの特性を把握し、次年度における本シミュレーション実験の準備を進めた。また、メソ降水系の強度に与える環境場の影響について簡略化した条件設定で感度実験を行い、どのような環境条件において強雨・強風をもたらすメソ降水系が発達するかについて調べた。研究成果は国内外の学会等で発表し、また気象分野の学術雑誌において発表した。
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