研究課題
本研究課題は、雲の内外を問わず高い時間及び鉛直分解能(数分以下・数100m以下)で鉛直流を観測可能な特長を持つVHF帯大気観測用レーダー(VHFレーダー)による鉛直流観測と他の観測手段などを組み合わせることにより、中緯度及び熱帯域における雲微物理過程と鉛直流の相互作用を明らかにすることを目的としている。今年度は、以下の研究を実施した。(1)2004年の熱帯域におけるVHFレーダー(赤道大気レーダー;以下EAR)とレーザーレーダー(ライダー)の観測データの解析を行った。ライダーの非降水雲(降水を伴わない)の観測データから非降水雲の雲頂と雲底を決定し、雲頂付近で卓越する下降流の存在と雲中層から上層にかけての大きな鉛直流擾乱の存在を示した。観測成果を国内学会で発表するととともに、査読付英文学術誌へ投稿する原稿の大部分を執筆した。(2)中緯度域におけるVHFレーダー(MUレーダー)とライダーの観測データから、中緯度巻雲における雲頂付近の風速変動を12分、150mの時間及び鉛直分解能で示すことに成功した。観測成果を国内学会で発表するとともに、査読付英文学術誌へ投稿する原稿の大部分を執筆した。(3)EARと95GHz帯レーダーの同時観測により、巻雲内の氷晶の落下速度が精度よく測定できることを示し、国内外の学会で発表した。成果は査読付き英文論文誌に受理された。(4)中緯度域においてMUレーダーと9GHz帯気象レーダーの同時観測を実施し、データ解析を実施した。(5)熱帯域におけるEAR観測データを用いて、降水領域における粒径分布と鉛直流の時間高度変動との関連に関するデータ解析を実施した。(6)その他の熱帯対流システムに伴う鉛直流変動の研究成果を国際学会で発表した。これらの成果は国際学術論文誌に掲載された。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件)
Journal of Geophysical Research (印刷中)
Radio Science 42
ページ: 3005
Journal of Applied Meteorology and Climatology 46(2)
ページ: 522-537