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2008 年度 実績報告書

天然放射性核種をトレーサーとした陸域水循環の新測定法の開発と応用

研究課題

研究課題/領域番号 19740298
研究機関大阪大学

研究代表者

齊藤 敬  大阪大学, 安全衛生管理部, 特任研究員 (00343616)

キーワード宇宙線 / 加速器質量分析 / 環境変動 / 水循環 / 放射線 / 天然放射性核種 / ベリリウム
研究概要

環境水(特に温泉水)中のウラン、トリウム、ラジウム等の放射性核種のモニタリングを進めていく中で、試料水の冷却によって生成する微小の結晶に含まれる放射性核種の影響が無視できないことがわかってきた。そこで、環境水中の放射性核種のモニタリングと同時に、これらの微結晶に含まれる放射性核種の影響についても検討を行った。測定対象として、大量に微結晶が存在すると考えられる温泉沈殿物(湯花)から粒子成分を分離しそれらの放射性核種の測定を行った。これより硫酸イオンの多い温泉では硫酸バリウムと同時にラジウムが共沈して、その娘核種の影響が環境水中の放射性核種の濃度を変動させる一員になる可能性があることを確かめた。
環境水中に含まれる宇宙線生成核種ベリリウム-10をモニタリングするため、東京大学加速器研究施設にて加速器質量分析(AMS)にて行った。秋田県玉川温泉の温泉水試料を対象に、イオン交換を利用したベリリウムの分離方法を開発し、2003年から2006年まで毎月毎のベリリウム同位体^<10>Beと^9Beを調査した。これより、測定期間中にはベリリウム同位体の濃度に大きな変動がないことがわかった。また、^<10>Beの濃度と湧出量、^<10>Beの起源となる雨水中の^<10>Beフラックスから、玉川温泉の集水域を求めることができた。さらに、ベリリウム同位体比^<10>Be/^9Beからベリリウムの起源を推測することも可能となり、97%以上のベリリウムが火成岩由来であることをつきとめた。この結果、宇宙線生成核種を利用し環境水の地球化学的な情報を得るごとができることがわかった。
現在、玉川温泉以外の環境水のベリリウム同位体を調査すべく研究を継続中である。これらの情報を追加することより、水循環等のさらなる知見が得られることが期待される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 玉川温泉の湯花中の放射能2008

    • 著者名/発表者名
      齊藤敬
    • 雑誌名

      温泉科学 57

      ページ: 206-214

    • 査読あり
  • [学会発表] 玉川温泉のBe同位体の起源2009

    • 著者名/発表者名
      山形武靖
    • 学会等名
      第11回AMSシンポジウム
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2009-01-14
  • [学会発表] 宇宙線生成核種をトレーサーとした玉川温泉の起源の推定2008

    • 著者名/発表者名
      山形武靖
    • 学会等名
      2008年日本放射化学会・第52回放射化学討論会
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      2008-09-27
  • [学会発表] 秋田県八幡平における温泉水、地下水中の宇宙線生成核種^<10>Be, ^<36>Cl2008

    • 著者名/発表者名
      丸山匡臣
    • 学会等名
      日本温泉科学会第61回大会
    • 発表場所
      五浦温泉
    • 年月日
      2008-09-25

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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