研究概要 |
低解像度モデルで用いるための下層雲のパラメタリゼーション開発の基礎となる下層雲を得るために,雲と大気乱流を共に解像する高解像度数値実験を行う。これまでの研究から,主な対象とする2003年6月23日のヤマセに伴う大気境界層の乱流を解像するためには少なくとも鉛直5m,水平10m程度の解像度が必要であることがわかっている。また,高解像度実験データから乱流統計量の解析に必要となるソフトウェアの開発も概ね完成している。そこで,本年度はこれらのデータを基にして雲,及び乱流を解像するヤマセ雲の高解像度数値実験を実施した。下層雲のパラメタリゼーションには,サブグリッドスケールで起こる1)大気乱流や対流に伴う水蒸気,熱,運動量の鉛直渦輸送と2)凝結による雲水の生成過程,3)雲量をパラメタラズする必要がある。渦輸送については現在でも乱流境界層スキームの改善が活発に成されているが(例えば,Nakanishi and Niino,2004),ヤマセの発生時の様な安定度の高い成層では力学的な乱流生成過程が重要であり,従来の研究では十分検証されているとは言えない。そこで,まず過去の研究例を基に乱流境界層スキームを導入し,高解像度モデルの結果を基に適正なパラメータの検証を行う。凝結過程と雲量については確率密度関数によりサブグリッドスケールの非均一性を表しヤマセ雲のパラメータ化を行ないその評価を実行した。
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