研究課題
前年度までに確立した四種硫黄同位体分析法を岩石試料・湖水試料・微生物培養実験試料のそれぞれに適用し、一部の結果についてさらに解析を進めた結果次のような事が明らかになった。35億年前の海水硫酸は硫黄不均化反応による硫酸と同位体異常を持つエアロゾル硫酸の混合である事が分かった(Ueno et. al., 2008 GCA)。当時のエアロゾルの同位体組成が推定されたことで、今後古大気組成についての制約が可能となり、あらたな研究へ発展した。またこの硫酸塩鉱物に含まれる硫化物の四種同位体組成を高精度に決定した事により35億年前の硫酸還元菌活動を強く支持した(Ueno et al., 2008 GCA)。一方、光合成硫黄細菌活動の類似環境として現在の成層湖において昨年から湖水の硫酸・硫化水素の観測および採取試料の培養実験を行って来たが、その結果、硫黄細菌の光合成活動が活発な夏の成層期には湖水中で硫酸還元と硫黄の酸化が生じていることが明らかになった。さらに、その期間は特異な四種同位体分別が見られる事から、存在度の低い^<36>Sの分析を高精度に行う事によって過去の嫌気光合成生物による硫黄酸化活動を検知できる可能性を示唆する結果となった。これらの結果は継続中の純粋培養による硫黄代謝同位体比分別係数の決定と合わせて太古代の大気・生物硫黄循環を解析する上で予想以上に重要な事が分かりつつある。
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