研究課題
(1)天山山脈西部の3露頭から得られた超高圧変成岩サンプル約50個のうち、塩基性のエクロジャイトサンプル6個にはマトリクス中・斑状変晶中ともに多数の硫化鉱物が含まれることが、新たに導入した反射顕微鏡観察によりわかった。そこで、硫化鉱物・酸化鉱物の産状をKawakami, et. al. (2006)にならい、(1)包有物、(2)マトリクス、(3)クラックでマトリクスに繋がる包有物(pseudo-inclusion)にわけて記載し、一部をEDSで観察した。(2)エクロジャイト中のザクロ石に包有される硫化鉱物には、離溶組織をもつものも存在することがわかった。これは後退変成を受けたことが明瞭なマトリクスに存在する硫化鉱物とは明らかに異なる産状であり、超高圧変成岩においても、斑状変晶に包有される硫化鉱物は包有時の情報を残している可能性があるとわかった。(3)超高圧変成岩中の硫化鉱物との比較対象として、リュツォ・ホルム岩体や領家変成帯などの高温変成岩を選定した。前者ではコンダライト中のザクロ石のリンによる組成累帯構造を用いることで、変成岩の温度圧力履歴にそったリン酸塩鉱物の挙動、およびザクロ石中のリンの累帯構造の成因解明に成功した。これにより、ザクロ石に包有される硫化鉱物の形成時期を温度圧力履歴と関連づけて理解できる基礎ができた。後者では硫化鉱物の産状を反射顕微鏡によって観察記載するとともに、硫化鉱物の挙動を温度圧力履歴にそって理解するための基礎として、Kawakami(2002)で提案された青山高原地域の温度圧力履歴をCHIME年代測定によって検証した。
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Geological Society of London Special Publications (in press)
Journal of Metamorphic Geology 25
ページ: 831-853