研究課題
(1)中国Qaidam地域から得られた超高圧変成岩(塩基性エクロジャイト)中のザクロ石に包有される硫化鉱物・酸化物鉱物が、変成史の中のどの時点の情報を記録しているのかを明らかにするため、EPMAでザクロ石の定量分析を行うと共に、包有される角閃石やオンファス輝石の分析も行った。その結果、オンファス輝石はJd40程度の組成を持ち、それらが包有される部分のザクロ石組成はコアのGrs値が高いプラトー部分に相当することがわかった。Zhang et al. (2008)による先行研究と比較すると、この部分はコース石が安定な超高圧時の情報を保持している部分である可能性が高く、超高圧時にはPo+Rt(+Cpy)が安定であったと思われる。本研究サンプルのザクロ石には多数の角閃石が包有されるが、その組成から、これらは後退変成期に形成され、クラックでマトリクスと繋がったものが、あたかも包有物のように見えているだけであるとわかった。(2)これらの組み合わせが安定であったときのf(S2)-f(02)条件を読み取るため、log[f(S2)]-log[f(02)]ダイアグラムをFroese(1977)にならい、圧力依存性も考慮して計算した。その結果log[f(S2)]は-9〜0程度、log[f(02)]は-14以下であると制約できた。(3)昨年度の成果である、東南極リュツォ・ホルム岩体におけるリン酸塩鉱物とリンの挙動の研究や、領家変成帯におけるモナズ石のCHIME年代測定の結果について、学会で成果発表した。またタイ東部地域の高温変成岩のリンの挙動の研究とモナズ石のCHIME年代測定を新たに実施し、成果発表した。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)
Geological Society of London Special Publications 308
ページ: 351-375
ページ: 1-20