研究概要 |
地球科学における過去のペロブスカイト型物質の熱振動解析はいずれも調和近似モデルを用いた解析であるが、地球深部のマントル層での物質の精密な挙動を議論するに当たり、高温高圧下での局所的な熱膨張を含めた、熱振動の非調和性を定量的に決定することは非常に重要であることから、ペロブスカイト型物質あるいは同様の八面体配位構造を有するルチル型物質のEXAFS法による非調和局所構造解析を行い、非調和熱振動を定量化し、非調和局所構造解析の有効性を議論することを目的とし、本年度は試料合成を中心に研究を実施した。出発物質の予備合成については研究代表者および大学院生が行った。特に合成されたケイ酸塩多成分酸化物試料の定量的な同定については研究代表者が行い、さらにそのデータを下に出発物質の合成条件を吟味し、具体的な合成条件を決定した。決定された合成条件により、研究代表者および大学院生が本合成を行った。合成温度は高温であるために安全性および効率性を考え、前駆体から相転移する温度を19年度購入の熱分析装置(SHIMADZU DTG-60)により精密に決定した。決定された相転移温度から電気炉等を用いて高温合成を行った。出発物質には、ゾルーゲル法を用いて合成した珪酸塩の多成分酸化物試料を用いた。本研究では、原子レベルでの熱振動解析を目的としているため、モデルを単純化させる必要があり、マグネシオウスタイトおよびスティショバイトを除く(Mg,Fe)Sio_3ペロブスカイトの単一相の合成を行った。さらに合成試料の確認のため、X線回折装置及び蛍光X線分析装置を用い試料の同定を行った。
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