研究概要 |
地球科学における過去のペロブスカイト型物質の熱振動解析はいずれも調和近似モデルを用いた解析であるが、地球深部のマントル層での物質の精密な挙動を議論するに当たり、高温高圧下での局所的な熱膨張を含めた、熱振動の非調和性を定量的に決定することは非常に重要であることから、ペロブスカイト型物質あるいは同様の八面体配位構造を有するルチル型物質のEXAFS法による非調和局所構造解析を行い、非調和熱振動を定量化し、非調和局所構造解析の有効性を議論することを目的とし、昨年度合成した試料を用いて研究を実施した。出発物質の予備合成については研究代表者および大学院生が行った。特に合成されたケイ酸塩多成分酸化物試料の定量的な同定については研究代表者が行い、さらにそのデータを下に出発物質の合成条件を吟味し、具体的な合成条件を決定した。決定された合成条件により、研究代表者および大学院生が本合成を行った。合成温度は高温であるために安全性および効率性を考え、前駆体から相転移する温度を昨年度購入の熱分析装置(SHIMADZU DTG-60)により精密に決定した。 合成した4種類の(Mg, Fe)SiO_3およびCaGeO_3ペロブスカイトのEXAFS測定および非調和熱振動解析を行った。局所的な原子対の熱振動におけるFe固溶量の依存性を定量化するため、(Mg, Fe)SiO_3ペロブスカイトについてはFeK吸収端近傍を、またCaGeO_3ペロブスカイトについてはCaおよびGeK吸収端近傍の局所構造解析を行った。その結果、高温領域での熱振動の非調和性を定量化することに成功した。
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