研究課題
当該研究課題の実現のため初年度は、まずF_2やO_2よりも弱い酸化剤であるCO_2ガスを用いて単層カーボンナノチューブ(SWCNT)成長に与える影響を調べた。SWCNTの原料であるCH_4ガス(流量75sccm)に対して、Arガスにより濃度0.1%まで希釈したCO_2ガスを流量1-10sccmにて流し、FeMoMgOまたはNiMoMgO触媒からSWCNTを成長させた。CO_2(/Ar)流量を増加することでSWCNTの結晶性は徐々に低下するものの、直径の細いSWCNTが成長しなくなることをラマン分光により確認した。この実験においてはFeMoMgOとNiMoMgO触媒との間に違いはほとんど見られなかった。次いで、CO_2がSWCNTそのものか触媒に対して作用するのかを調べるため、CO_2の導入タイミングを(1)H_2ガスによる還元終了後でCH_4導入前、(2)CH_4導入の終了後、(3)CH_4導入が終了して冷却後、の3つに分けて実験を行った。その結果、FeMoMgO触媒では純CH_4成長時に比べてあまり変化はなかったものの、NiMoMgO触媒から成長したSWCNTは(1)の場合のみSWCNTの収率ならびに結晶性が大きく低下した。このことから、CO_2はSWCNT成長前の触媒表面に作用を及ぼし、新たなSWCNTの成長を抑制している可能性が考えられる。熱重量分析装置を用いて、大気圧下CO_2(/Ar)ガス雰囲気にてSWCNTサンプルを処理したところ、800℃まで重量損失がほとんどなく、1400℃まで加熱してもほとんどのSWCNTが存在していた。このようにCO_2の酸化力は非常に弱いものの、触媒に対してはSWCNT直径の選択性をもたらす効果を確認できた。
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