本研究は、スラブ型光導波路(SOWG)スペクトルにより電極表面から1μm以内の距離の範囲内に存在する物質の時々刻々と変化する濃度を測定することにより、拡散層内の物質移動を直接観測できる測定システム及び測定方法の開発を行った。本年度は、前年度に構築したエバネッセント波到達距離可変の分光測定システムを用いて、電極界面の任意の位置の化学種の濃度分布測定を可能とするための理論式の展開や拡散理論との対比をフェロインの電解などの実例を用いて検証した。本年度の主要な研究実績は以下の通りである。 1. SOWGスペクトルデータの解析 : SOWGスペクトルの吸光度と試料濃度の間には次の式が成り立つ。 A/A_0=R=s∫^∞_0C(z)/C_0exp(-sz)dz ここで、zは電極からの距離、C_0とA_0電解前の試料濃度と吸光度、Aは電解開始t秒後の吸光度、C(z) は距離zにおけるt秒後の試料濃度、sは2/dp、dpはエバネッセント波の到達距離で各電位における濃度プロフィールを得ることが出来た。このことから本法は時間経過に伴う濃度プロフィールの変化を求めることが出来ると考えられる。
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