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2007 年度 実績報告書

水の第2臨界点仮説から見たタンパク質のフォールディング機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19750010
研究機関福岡大学

研究代表者

吉田 亨次  福岡大学, 理学部, 助教 (00309890)

キーワード化学物理 / 化学物理 / 中性子散乱 / 生物物理 / 液体
研究概要

タンパク質に水和した水の平均自乗変位は225K付近で急激に増大することが知られている。これは動的転移と呼ばれ、タンパク質の機能発現に関連していると言われている。一方、水の異常性を説明する仮説として、225K付近で高密度水(HDL)/低密度水(LDL)の液-液転移が存在するという、水の第2臨界点仮説が話題となっている。本研究ではタンパク質の折り畳み問題を水の第2臨界点仮説から説明することを目的として、動的転移と液-液転移との関連性を明らかにするために、タンパク質に吸着した水と多孔性シリカガラス中に閉じ込められた水のダイナミクスを中性子散乱法により観測した。水を吸着させたβ-ラクトグロブリンの中性子スピンエコー測定はドイツのハーン・マイトナー研究所にて行った。中間散乱関数は200Kでは時間に対してほとんど減衰しないが、225Kを超えると緩和現象が観測され、本研究の系についても動的転移が起こることが見出された。また、観測スケールのサイズが大きくなると動的転移がより明瞭になり、大きな振幅をもつ原子運動が動的転移を支配していることが示された。また、フランスのラウエ・ランジュバン研究所にて水(重水)を吸着させたMCM-41(多孔性シリカガラス)の中性子非弾性散乱を370-180Kの温度範囲で測定した。細孔中に閉じ込められた水は低温でも結晶化せず、安定な過冷却状態に到達できることがわかった。そして、水の緩和時間の温度依存性は225K前後で非アレニウス型からアレニウス型に変化し、高密度水(HDL)/低密度水(LDL)の液-液転移が存在することの一つの証拠として示された。さらに多孔性シリカガラス中に閉じ込められた水は生体中の水のよいモデルとなることが明らかにされた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] On the solvent role in alcohol-induced α-helix formation of chymotrypsin inhibitor-22008

    • 著者名/発表者名
      Koji Yoshida, Junko Kawaguchi, Sannum Lee, Toshio Yamaguchi
    • 雑誌名

      Pure and Applied Chemistry (In press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hydration water in dynamics of a hydrated β-lactoglobulin2007

    • 著者名/発表者名
      K. Yoshida, T. Yamaguchi, M.-C. Belllissent-funel, S. Longeville
    • 雑誌名

      Eur. Phys. J. Special Topics 141

      ページ: 223-226

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Structure and dynamic properties of liquids confined in MCM-41 mesopores2007

    • 著者名/発表者名
      T. Yamaguchi, K. Yoshida, P. Smimov, T. Takamuku, S. Kittaka, S. Takahara, Y. Kuroda, M.-C. Bellissent-Funel
    • 雑誌名

      Eur. Phys. J. Special Topics 141

      ページ: 19-27

    • 査読あり
  • [学会発表] 二次元NMRおよびレプリカ交換MDによるモデルペプチドのアルコール変性機構の研究2007

    • 著者名/発表者名
      吉田、KRISHTAL、藤永、李、根本、金渾、山口
    • 学会等名
      第1回分子科学討論会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      2007-09-19
  • [学会発表] 中性子散乱法によるナノ細孔中の水の構造とダイナミクス2007

    • 著者名/発表者名
      吉田亨次
    • 学会等名
      第68回分析化学討論会若手企画シンポジウム
    • 発表場所
      宇都宮大学
    • 年月日
      2007-05-20

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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