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2008 年度 実績報告書

水の第2臨界点仮説から見たタンパク質のフォールディング機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19750010
研究機関福岡大学

研究代表者

吉田 亨次  福岡大学, 理学部, 助教 (00309890)

キーワード化学物理 / 化学物理 / 中性子散乱 / 生物物理 / 液体
研究概要

タンパク質の折り畳み問題を水の第2臨界点仮説から説明するため、多孔性シリカガラスおよびデキストランゲル中に閉じ込められた水のダイナミクスを中性子散乱によって観測した。ドイツのハーンマイトナー研究所にて、水(重水)を吸着させたデキストランゲルの中性子非弾性散乱を370-180Kの温度範囲で測定した。得られた中間散乱関数から水分子の平均自乗変位(RMSD)、緩和時間および緩和時間の分布βなどの動力学パラメータを求めた。多孔性シリカガラス、あるいはデキストランゲル中に閉じ込められた水、および生体分子に水和している水、これら三種類の水について、動力学パラメータの温度依存性を比較したところ、非常に良く似た挙動をとることが示された。シリカガラスは硬い細孔障壁を持つが、デキストランゲルは柔らかい細孔障壁を持つ。細孔障壁の硬軟にかかわらず、細孔に閉じ込められた水はともに生体中の水のよいモデルとなることが明らかにされた。そして、過冷却条件下で存在すると言われている水の高密度水-低密度水転移(液-液転移)と220K付近でタンパク質の運動に非調和性が生じる動的転移との関連性を考察した。一方、高輝度光科学研究センター(SPring-8)にて、水を吸着させたβ-ラクトグロブリンのX線非弾性散乱を測定した。バルク水では水素結合ネットワーク構造に起因する動的音速が観測されるが、タンパク質に水和した水についても同様の現象が見られることを示した。今後は、さらに詳細な解析を行い、タンパク質の水和水に関する性質をダイナミクスの観点から明らかにする予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 中性子スピンエコー法による過冷却状態における細孔水の動的挙動2008

    • 著者名/発表者名
      吉田亨次
    • 雑誌名

      福岡大学理学集報 39

      ページ: 55-62

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Thermodynamic, structural and dynamic properties of supercooled water confined in mesoporous MCM-41 studied with calorimetric, neutron diffraction, and neutron spin echo measurements2008

    • 著者名/発表者名
      K. Yoshida, T. Yamaguchi, S. Kittaka, M.-C. Bellissent-Funel, P. Fouquet
    • 雑誌名

      J. Chem. Phys 129

      ページ: 54702-1-11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] On the solvent role in alcohol-induced α-helix formation ofchymotrypsin inhibitor-22008

    • 著者名/発表者名
      K. Yoshida, J. Kawaguchi, S. Lee, T. Yamaguchi
    • 雑誌名

      Pure Appl. Chem 80

      ページ: 1337-1347

    • 査読あり
  • [学会発表] 中性子散乱および動的光散乱によるβ-ラクトグロブリンの構造と運動に対するアルコールの影響2008

    • 著者名/発表者名
      吉田亨次・山口敏男・遠藤仁・柴山充弘
    • 学会等名
      第2回分子科学討論会
    • 発表場所
      福岡市
    • 年月日
      2008-09-24

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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